魚の揚げ物で外せない料理の一つが、松笠揚げだ。
魚種としてはやはり甘鯛だろう。
もちろん他にも松笠揚げを楽しめる魚はあるが、この料理の主役はやはり甘鯛だと思う。
甘鯛は水分が多く、鮮度の良い刺身が必ずしもその旨味の本領を発揮する魚ではない。
刺身で食べるなら昆布締めが鉄板だろう。
むしろこの魚は、火を通してこそその高級魚たる凄みを見せる。
名前負けしない甘み。
繊細な肉質。
そして、松笠揚げが引き出す芸術的な色味。
鱗という厄介者
魚料理において、鱗ほど不気味で迷惑な存在はない。
ほんの数枚取り残しただけで、
刺身も煮魚も台無しにする。
あのザラっとした違和感は、
魚料理の事故と言ってもいい。
その厄介者を、
最高の贅沢品に変えてしまう料理。
それが松笠揚げだ。
天然の衣
松笠揚げは見た目の派手さだけではない。
鱗側から丹念に火を入れていくことで、
鱗がパリパリに開きながら揚がる。
そしてもう一つ重要なのは、
水分のコントロールだ。
魚を加熱すると水分は蒸発し、
身はパサついていく。
しかし松笠揚げでは、
鱗がその水分を守る。
いわば
天然のパリパリ衣
なのである。
新宿・大庵
ここは新宿の蕎麦屋
大庵
この日は本日のおすすめとして出ていた一皿。
つまり、いつでも食べられるとは限らない。
もし出会えなければ、
天ぷら蕎麦を召し上がれ。